ガンガラーの谷プロデューサー高橋が語る、ガンガラー秘話

ガンガラーの谷プロデューサー高橋が語る、ガンガラー秘話

ガンガラーの谷プロデューサー高橋が語る、ガンガラー秘話

ガンガラーの谷事業所長:高橋巧

ガンガラーの谷事業所長:高橋巧

千葉県出身、琉球大学卒。大学では地形学を学びながらワンダーフォーゲル部に所属、沖縄県内のジャングルや海、国内外の山や川等を飛び回り、登山やカヤック等で自然の素晴らしさを経験。株式会社南都入社後は総務課長を経て、ガンガラーの谷プロデューサーとして従事。

ガンガラーの谷、空白の三十年

2008年8月にガンガラーの谷として公開されたこの場所は、実は1972年に一度「自然公園」としてオープンしていた場所です。しかし「自然公園」は、谷を流れる川に上流の畜舎からの排水が流入し川が汚染されたことで、わずか数年で閉鎖に追い込まれました。その後は閉鎖状態のまま、河川環境の回復を三十年待ち続けることとなりました。

ガンガラーの谷、空白の三十年

創業者からのミッション

そんな中2007年12月、川の汚染が完全に改善されたとは言えない中ではありましたが、株式会社南都の創業者大城宗憲会長より「自然公園をそろそろ公開したい。この場所の存在が人々の記憶から消え去る前に、何とかしなければならない」というミッションが私に言い渡されました。大城会長は「この谷は後世に残していくべき、価値のある場所」という信念のもと、再公開できる日を三十年待ち続けていたんです。当時私は総務課長でしたが、迷うことなく任命を受け、プロジェクトリーダーに着任。これが、自然公園がガンガラーの谷として生まれ変わるはじめの一歩です。

創業者からのミッション

衝撃のファーストインプレッション

まだ再公開の話しが動くより以前、私が初めて谷の中に入ったとき、「うぉー!何だこれはー!」という驚きと混乱に陥りました。大学で地形学を学び、ワンダーフォーゲル部の活動で沖縄中の素晴らしい自然景観をたくさん見てきましたが、ここには今までに見たことのない、想像したこともない世界が広がっていました。地形学を学んできたにも関わらず理解ができない地形、理解を超えた景観を見たときの衝撃は今でも鮮明に覚えています。

衝撃のファーストインプレッション

谷が持つ3つのテーマ

ガンガラーの谷には「自然」「古代人」「祈り」という3つのテーマがあります。豊かな生態系やユニークな地形、次々と発掘される古代人の痕跡、そして今も継承されている自然の空間への祈り。どれも作りものではない、本物の軌跡です。祈りの空間は権力者が造った拝殿があるわけでなく、現在もこの場所の縁者等が祈りに訪れている、古代からの祈りが今に続いている空間なのです。

谷が持つ3つのテーマ

センス・オブ・ワンダー 自然の神秘を感じる

発掘調査では、3万年前にはこの場所に人間がいた痕跡が発見されています。しかしこの地は、人類が到達するはるか昔から存在し続けています。宇宙誕生、地球誕生、人類誕生というような長い歴史から見ると、人がこの谷に関与したのはつい最近の出来事ですよね。自然界に生まれ、自然に育まれた私たち、誰しもが「自然の神秘を感じる感覚(センス・オブ・ワンダー)」を持っています。理屈ではない、言葉では説明できないけど心の奥の記憶にある世界、幼い頃に見た夕陽の美しさや、荒々しい海の波、深い森のにおい、そんなどこか懐かしい自然の神秘をあなたもこの場所で感じられるかもしれません。

センス・オブ・ワンダー 自然の神秘を感じる

予約制ガイドツアー専用エリアにした理由

ガンガラーの谷の魅力は、解説無しでは伝わりません。しかし、自然の中に説明看板等を立てると空間の雰囲気が壊れてしまいます。そこで景観を守り、雰囲気を壊さずに、谷の価値をしっかりと伝える方法として、人と人とのコミュニケーションを選びました。更にツアーの人数は制限し、他のツアーと遭遇しないように時間差で出発。豊かな自然と古代の世界に浸っていただけるように設計しています。

予約制ガイドツアー専用エリアにした理由

ガイドのトークは落語がベース 想像は無限大

ガイドのトークは落語の考えが基本となっています。私自身が高校時代に落研で落語を嗜んでいたことがあるのですが、落語は一人の演者が表現力を駆使して話すことで、観客の頭の中に広大な江戸の街並みや多種多様な人物を描き出させます。ガンガラーの谷も、目の前に広がる本物の空間の裏側、ダイナミックに変化していく地形や古代人の営み、捧げられてきた数々の祈りなど、お客様の頭の中で自由に想像していただきたい。ガイドはお客様の想像力をサポートする存在です。

ガイドのトークは落語がベース 想像は無限大

洞窟カフェは心を整える空間

天然の洞窟がそのままカフェになっているケイブカフェは以前、どなたでも自由に利用できるよう一般公開していましたが、現在はガイドツアー参加者のみの利用に限定しています。カフェスペースは「ツアー参加者が出発前に心を整える為の空間」という当初の設計を重視する事にした為です。私たちは現代社会で日々現実と向き合い生活をしています。その日常の現実的な思考のままツアーに参加するのではなく、心を谷に同調させてから出発したほうがより谷の価値を感じられると考えているんです。できればツアー出発前は時間の余裕をもってお越しいただき、ぜひこの空間で心を整えてみてください。

洞窟カフェは心を整える空間

高橋お気に入りの景観

この谷の全てを愛している私ですが、特にお気に入りのスポットを紹介します。一つ目は、ツリーテラスに上る手前で歩いてきた道を振り返り、大主(ウフシュ)ガジュマルの谷を見下ろすポイント。ここが「衝撃のファーストインプレッション」の場所、どうやってこんな地形になったのか私の理解を超えた場所です。二つ目は、イキガ洞から出ていく時に見られる奇妙な洞窟の天井と森の緑とのコントラスト。出口に向かって歩いて行く際、景色が目まぐるしく変化していきます。ぜひご自身の目で確かめにいらしてください。

高橋お気に入りの景観

今後のガンガラーの谷について

2008年のオープンからこれまで、本当にたくさんの方がツアーに参加してくださり、この場所の様々な価値を感じていただけている事、感謝しても感謝しきれません。お越しいただいた方、これからお越しになる方、本当にありがとうございます。更に今後は谷に眠るまだお伝えしていない価値をお伝えすべく、新しいガイドツアーの開始も検討しています。この場所を守るという使命を達成すべく、私たちはこれからもこの場所の価値を伝え続けます。応援よろしくお願い致します!

今後ともガンガラーの谷の応援よろしくお願い致します!

取材日2021年3月16日

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